ぼくはもう

おまえたちのことが好きというわけではないから
夜寝る前に
おまえたちの名まえを
何度もつぶやいたりはしない
おまえたちのために心をこめて
愛の言葉を捏造したりはしない
おまえたちのことを頭にうかべながら
ひとりパンツを脱ぐこともない

ぼくには今
好きな好きな好きな
好きなひとは
いないのだ
ぼくは今
とても淋しい
ぼくはおまえたちの手を
真剣に握ったことすら
なかったけれど
けれども
おまえたちを好きになっていた時は
今ほど淋しくなかった

ぼくはおまえたちとは
ちがう道をゆくのだ
ぼくは死ぬ前におまえたちを思い出すだろう
おまえたちの宇宙のなかでぼくはその
暗やみの片隅の片隅の片隅に追いやられるだろう

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