悪夢

この世の悪夢は偶発的で
あの世の悪夢は恣意的である

悪夢はたくさんだと
この世さえ捨てたくなるのだが
あの世の悪夢が
この世の悪夢よりましであるとは
だれも請け負ってくれない

きかざる

街でわたしをみる
ほとんどのひとは
わたしのことを
雑にしかみないだろう
よしんば
わたしのことを
ちゃんとみるひとが
あらわれたとして
そのひとはむしろ
目にはみえないものに
感づくだろう