片恋 phase 8

告白に意味はない
そして
遠くからながめているだけでも
だめなのだ
さとられようとして
さとられてはならないし
距離をちぢめられなくても
くやしがってはいけない

かっこたる自分はなく
かっこたるあの人はいない
かっこたるものどうしが
とけだしていくとき
すこしは
ひとを好きになる意味も
あるような気がする

片恋 phase 7

恋愛が芸術を統合するなどと
おもいあがってはいけない
芸術こそ恋愛のばけのかわを
はぐのだ
そのとき
もうもちぬしさえいない
甘い妄想のかずかずは
すすりなく暇さえ
ないだろう

片恋 phase 6

右から見ても左から見ても
かなしい運命にある
恋愛というものをくぐりぬけなくては
この世のたくらみをのぞきみ
できないというのなら
ぼくはぼくのためらいを
ふみぬかなくてはならない

人間は人間に服従する義務などないが
なににも服従しなくてよいなどという
ことはありえない
人間がこの世のたくらみに参画するとき
それはしもべとしてであり
主体としてではない
人間はただ主体というものを
知るだけだ
それも運がよければ

恋の煙で瞳孔がひらいている
きみにいっているのだよ
きみからもぼくからも
はばたいていくもの
それがなにか
きみはその目でみたか