負けても幸せ~「秒速5センチメートル」を観て~

「秒速5センチメートル」を観た感想を述べます。

ひとことで言えばとてもよかったです。「君の名は。」もとてもよかったのですが、もしかすると「君の名は。」よりおもしろいかもしれないです。

注目すべきはラストです。貴樹が踏切で明里とすれ違う。貴樹はふりむく。しかし明里はふりむかず歩いていく。これは2人のそれぞれの気持ちを象徴するのかもしれません。貴樹はここで悔しい思いを感じたかもしれません。踏切の向こうに誰もいないことを確認したあと、彼はなぜか笑って去っていくのです。あれほどまでに追い求めていた明里ともう一度出会うことができないのに、どうして彼は笑うことができたのでしょうか。

あぁ、ハッピーエンドなんだと思いました。主人公がハッピーだと感じられるのならそれはもうハッピーエンドなんだと思います。貴樹は、明里と一緒になれないという意味においては、人生に負けています。しかしながら、彼は、(わたしが推察するに、)自分からハッピーになろうと思ったのではないでしょうか。明里のことは未だ好きなのでしょうし、桜を見ると彼女を思い出してしまうのは確かにそうなのでしょう。

明里がもう彼を気持ちの上で「放した」ことを察して、彼は彼の過去を「放した」のだと思います。そんな彼がとてもかっこいいと思いました。

わたしにとって本物のアニメとは、「もう一度戦おう」と思わせてくれるアニメです。「秒速5センチメートル」は、そういう意味で傑作でした。

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