今年は奇妙な年である
半年をややすぎるまで
浮かれてすごし
今
秋の到来のなか
しずかな絶望におかされており
これをふりはらうことはできない
手紙
わたしは
あなたにむけて
A4 2枚の手紙をかいた
中身をよみかえし
おそろしい気持ちになって
清書するのを断念した
わたしの存在が
あなたにとって
とるにたりないものであるとき
わたしが
わたしのことばかり
紙の上にうつしたとて
それがなんになろう
タイミング
あなたは
きっともう今日は来ないだろう
とわたしが思ったときに
どこからとなく現れる
リング
リングにあがり
なぐられようと
なぐられまいと
いずれも恥ではない
しかしリングに
あがらないのは
恥であると信じる
うそ
木でできた人形も
うそをかさねれば
本当の人間となり
実はむかし人形であった
人間は
ひとたび本当のことを
口走ると人形に戻った
肉体
肉体に必要なのは
刺激であって
なぐさめでない
男の絶望
仕事ではろくなことがなく
バイクのエンジンはかからない
これを男の絶望という
瞑想
目をつむり
わたしは
あなたにあえなくなった
かなしみをたどる
オフィス
いやなことは
いやなところでやる
そのためのオフィスだ
空虚は現実で埋められる
いくら肉体をいためつけたところで
いくら精神をたたきなおしたところで
人生はいくつもの次の日を繰り出してくる
今日の答えは明日役に立たないかもしれない