妄想

わたしにとってのあなたは
あなたについてのわたしの妄想で
編みあげられていて
あなたにとってのあなたと
かさなりあうことはないだろう
そしてわたしは
あなたにとってのあなたを
おいもとめているつもりでいて
一生懸命あなたについての妄想を
編んでしまうのである

Thursday Night, Go Ride

明日で世界がおわろうとも
今夜はバイクにのらねばならない

世界をおわらせたがっているひとたちは
わかってないが
時間がなにかをわかっているひとたちに
とっては
今日で世界がおわろうが
明日で世界がおわろうが
どっちでもよいことなのだ

感謝

なぜかあやまりを感じると書く

もはや自分には
感謝というものが罪の意識の表明でも
あるかのようにおもわれ
きえそうにない自分の落ち度ばかりが
思いおこされる

意志

わたしがあなたの内面について
把握していなかったのと
もしかしたら同じくらいに
あなたも私の内面について
把握することはできなかったのではないか

ひとりの人間を構成するものが
その場その場の感情以外にもあるのだ
と信じたうえでの話だが

冷めた恋

コーヒーなどの飲み物について
さめてもおいしい
とあなたは言っていたけれど
冷めた恋については
さめてもなおよい
とあなたは言うだろうか

あるいは
冷めた恋はもはや恋として
存在しない
とおっしゃるだろうか

夢という
近い将来への野望を
まじめにいだくとき
その夢が
過去の私を将来の私に
約束しないとき
私は他人をいくらか
あざむいている気持ちになる
そうでなくては
夢などではない