わたしにとってのあなたは
あなたについてのわたしの妄想で
編みあげられていて
あなたにとってのあなたと
かさなりあうことはないだろう
そしてわたしは
あなたにとってのあなたを
おいもとめているつもりでいて
一生懸命あなたについての妄想を
編んでしまうのである
Thursday Night, Go Ride
明日で世界がおわろうとも
今夜はバイクにのらねばならない
世界をおわらせたがっているひとたちは
わかってないが
時間がなにかをわかっているひとたちに
とっては
今日で世界がおわろうが
明日で世界がおわろうが
どっちでもよいことなのだ
喝!
かわるべきは
他人でなく
世間でなく
思い上がりの
自分である
波にあらわれる巌たれ!
感謝
なぜかあやまりを感じると書く
もはや自分には
感謝というものが罪の意識の表明でも
あるかのようにおもわれ
きえそうにない自分の落ち度ばかりが
思いおこされる
門出
女に袖にされたという
ただそのことだけでも
旅に出る価値は十分にある
詩と恋愛
恋愛をしているあいだは
恋愛のために詩をかき
恋愛がおわってしまったあとは
恋愛のしぼりかすで詩をかく
意志
わたしがあなたの内面について
把握していなかったのと
もしかしたら同じくらいに
あなたも私の内面について
把握することはできなかったのではないか
ひとりの人間を構成するものが
その場その場の感情以外にもあるのだ
と信じたうえでの話だが
冷めた恋
コーヒーなどの飲み物について
さめてもおいしい
とあなたは言っていたけれど
冷めた恋については
さめてもなおよい
とあなたは言うだろうか
あるいは
冷めた恋はもはや恋として
存在しない
とおっしゃるだろうか
A Haiku of Spleen
寒空に死んだ顔してバイク売る
夢
夢という
近い将来への野望を
まじめにいだくとき
その夢が
過去の私を将来の私に
約束しないとき
私は他人をいくらか
あざむいている気持ちになる
そうでなくては
夢などではない