つらいとき
好きなひとに
ああ、つらい
しにそうだ
というのもよいのだけれど
むしろあえて
だまって
くるしんでいるほうが
おとこらしいのではないかと
おもうだけおもってみたのだ
片恋 phase 21
あのひとにあえない
日曜日なんて
日曜日を名乗る資格さえない
片恋 phase 20
思い出も
あんまり沢山再生すると
すりへったりするものだろうか
片恋 phase 19
この間
幻覚剤について
聞く機会があったのだが
実はぼくの思ったのは
次のようなことだった
幻覚だけなら
いやそれ以上のなにか
についてさえも
恋の病で十分なのではないか
すでに世界の把握の方法自体が
無用な想像力によって
めいっぱい
歪められているのだから
片恋 phase 18
いま
わたしのあわれなたましいが
ちろうとしている
あなたのことをおもいながら
あなたのもとへたどりつけずに
片恋 phase 17
明日がいちばんつらい日だと
いうのならそれもよかろう
その日をだれに捧げるか
決める権利がぼくにはあるので
ぼくはそんな苦い1日を
好きなひとに捧げてみるのである
回想
丈の長いコートに
一本下駄という
いで立ちで
あなたに手を引かれながら
ラーメン屋の階段をおりていくとき
ぼくは自分が
救世主にでもなったような気がした
12時半
昨日も今日も
12時半まで起きていた
昨日は仕事で
今日は休みで
両者は全くちがうものだった
当然ぼくは後者を支持するのだが
それは自分の意志を反映できるからだろうか
いや
単に苦痛の問題かもしれない
両者を横に並べるのもナンセンスかもしれない
昨日があり今日があったというだけかもしれない
Il neige
甘い妄想をしながら
過酷な現実を乗り越えようと
思っていたのだが
過酷な現実のほうが
一枚上手で
ぼくは妄想をする暇さえ
与えられなかった
片恋 phase 16
(思い出すために書く)
好きだなどと
言う必要はない
自分の思いは
もう明かされている
と思えたら
それでいいのだ
付き合ってほしいなどと
言う必要はない
付き合いたいという願いが
ついえたら
どうしようとひとは
思い迷うわけだが
それを口にすることは
その願いをかなえてくれる
わけではないのだ
(わたしはまだなんの決心もつかない)