カテゴリー: 詩

木でできた人形も
うそをかさねれば
本当の人間となり
実はむかし人形であった
人間は
ひとたび本当のことを
口走ると人形に戻った

肉体に必要なのは
刺激であって
なぐさめでない

仕事ではろくなことがなく
バイクのエンジンはかからない
これを男の絶望という

目をつむり
わたしは
あなたにあえなくなった
かなしみをたどる

いやなことは
いやなところでやる
そのためのオフィスだ

いくら肉体をいためつけたところで
いくら精神をたたきなおしたところで
人生はいくつもの次の日を繰り出してくる
今日の答えは明日役に立たないかもしれない

しねるもんなら
しんでしまいたい
などと
じゃねんがあっては
はやおきなんぞ
できはしない

わたしはクリエイター
などではなく
市井のばかものであるけれど
あえて次のように述べよう

クリエイティビティが
刺激されるかどうかは
重要ではない
重要なのは
クリエイトすること
それ自体なのだ
わたしはゆえに
刺激なくとも
クリエイトの拳を撃ち続ける

インスピレーションが
未来の快楽のなかに
存するとは
わたしは考えない
インスピレーションはただ
思い出のなかにあるものだ

いぜんは
いたみをしずめるために
さけをのんでいたが
ちかごろは
さけをのむといたみが
よりあざやかになってしまうので
さけをのむのが
おそろしくなってしまった

つまらないがしかし
重大な失敗をして
絶望するより
今夜はつまらない夜だと
言って床につくほうが
はるかに健全で賢明な
選択である