忘恋

わたしは
すきなひとを
忘れることに
思い至った
思いだせば
またすきになってしまうだろうし
思いだせば
かかわらずにはいられないだろう
好意とはナイフのようなものであり
もはやわたしの好意は
あのひとにとってみれば
ナイフでしかありえない
わたしは
すきなひとを
忘れることに
思い至った
わたしは
わたしの好意が
花となることをねがう

逆行

好かれようとするから
ばかなことをして
恥をかくのだ
真剣に嫌われる努力でも
したらいいのだ

関わろうとするのをやめ
関わらないようにすることに
心を向けなければならない

手紙

わたしは
あなたにむけて
A4 2枚の手紙をかいた
中身をよみかえし
おそろしい気持ちになって
清書するのを断念した
わたしの存在が
あなたにとって
とるにたりないものであるとき
わたしが
わたしのことばかり
紙の上にうつしたとて
それがなんになろう