カテゴリー: 詩

欲望のきもちよさではなく
欲望のおそろしさを
知ったぼくは
そこでようやく
立ちどまり
汗をぬぐった

くちにしないほうが
いいのだ
なやみというのは
むねにしまって
そっと
あるいてゆくが
いいのだ

そのときぼくは
唐突に夏がきたことを悟った

結局のところ
男も女も
自由でなければ
話にもならない

そして自由とは
ただ自分ひとりのみに
与えられたものではなく
みんなが切ることのできる
尊いカードなのだ

あなたからの
音沙汰なく
ひとり激務の夜をいく
さみしいのは
事実だが
ぼくはさみしくないと
思うことにした

それが運命であるならば
運命として受け入れよう
それが運命でないならば
人事を尽くして
天命を待とう

好きなひとに
どう思われているか
いちいち気にしても
好きなひとのことが
好きなことには
変わりがないのだから
どう思われているか
いちいち気にしても
しかたがないんじゃないか

ぼろぼろのこころ
ぼろぼろのからだ
それでもまだ
たたかうことができる
と思うのなら
逆転はここからしかねえ
と思うことだ

早く真実というものを
知りたいと思うが
示される真実は
真実ではないということにも
気をつけるべきだろうね

愛とは
愛のようなものであって
愛ではないのなら
ビールとは
ビールのようなものであって
ビールではない

現実世界の法則を
しらない者が
想像の世界で
空をとぶことはできない